木には、気が宿る、魂が宿る、ときには神さえも宿る。すべての原点に戻り、木とともに海に漂うとき、先人から受け継いだ在りし日の記憶が蘇る。それは、温もりとともに人の心の奥底に柔らかく横たわっている、遠い彼方の記憶だ。遥かなる海を渡る舟、浜に漂着した流木、岸辺の波と戯れる木片…。太古の海では、人は木に運ばれ、その先の命を紡いできた。いつの世でも人が木の温もりを無条件に嗜好するのは、こうした時空を超えた命の記憶による導きが、無意識に働くからなのかもしれない…。これは、生命体が陽の光に指向する営みにも似た、万象を司る摂理だ。木を介し海のエネルギーをおもむろに感受するとき、人はただただ歓喜する。